 楠木 誠一郎 発売日:2002/05 価格  石原莞爾の理想結果として彼は満州事変の立役者でありその満州国成立を利権軍人や利権官僚、利権財閥に利用され満州を追われてそれが悪夢の十五年戦争の引き金を引いてしまった。しかし彼が理想としたのは日本人も満州や朝鮮系も皆平等に暮らせる王道楽土であった。満州国成立後、日本人の中国人、朝鮮人差別と搾取を最も苦々しく思っていたのも彼であった。実際に彼の大アジア主義の実験場としての真の五族協和、日本からも独立したアメリカ合衆国のような理想が満州において実現していたら歴史は変わったかもしれない。
「世界最終戦」論や「東亜連盟」構想など独自の理論で、満洲国建国のシナリオを描いた関東軍参謀・石原莞爾。本書は彼の生涯を描く長編小説である。
来るべき次の戦争は世界最後の大戦争である。西欧文明の中心は米国に移り、日本は東洋文明の中心となって、日米間で殲滅戦争が行われるであろう。したがって、満蒙に独立国家を建設し、満蒙を『五族協和』『王道楽土』の地にすることは、東亜の民族が一丸となりこの世界最終戦争に備えるためである――これが石原の満洲国建国の目的であった。石原は関東軍司令官本庄繁や参謀板垣征四郎を動かし、なんとか建国にこぎ着ける。だが軍部はそこに止まらなかった。満洲を足がかりにさらなる拡大を目指したのである。不拡大を唱える石原は、強硬派の東條英機と対立。彼は抑えのきかなくなった陸軍に絶望し、やがて自ら予備役を志願するのであった。
型破りな天才的軍人の闘いの日々を、満洲事変を中心に活写する力作。
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