現時点での佐藤賢一氏一番の出来今のところ、佐藤賢一氏のベストの傑作ではないだろうか?大いなる欠点と大いなる才能をもった愛すべき主人公、その主人公の傍を離れることなく、いつもヤレヤレと思いながらその尻拭いをする理解者、全霊をもって忠誠を尽くすことのできる主君、優れたライバルの存在等々、構成からいうとこの作品が一番完成度が高いと思う。また、百年戦争の前半部分(ジャンヌ・ダルクが登場する前)についていくつかの戦闘を除くとほとんど知らなかったので、この本により初めて知ったことが結構あった。この点での記啓蒙的要素+随所にでてくる司馬遼太郎的なウンチクが、この本をベストと思う所以。余談だが、この小説には、これまた傑作漫画「アルカサル」に登場する人物が出てくる。ただ、漫画のほうと全然キャラが違う。また、漫画のほうは途中で中断したままだけど、その結末がこの小説で描かれてる。なので興味のある方は読み比べてみて欲しい。