人間は立場で生きている 上巻では、100石取りの一長岡藩士でしかなっかった継之助が家老に抜擢され、京都、大坂、江戸、横浜を舞台に活躍していく。 中巻で一番印象に残ったのが福沢諭吉との出会い。 福沢と継之助は似ている。侍の時代が終わると予言していたこと、封建制度の限界を感じていたことなどがそれだ。 これほど似ている二人なのに、同じ結論に到達できなかった。福沢は「幕府が勝とうが、薩長が勝とうがどちらでもいい」という結論だった。しかし、継之助は、「私は長岡藩の家老で、長岡藩の独立を守らなければいけない」という結論だった。 「人は立場で生きている」 と継之助は言った。 もし、継之助が福沢の立場だったら、もし、坂本竜馬のように浪人の立場だったら今の日本はどうなっていただろうか。 そう考え巡らすと歴史は面白いなと、思う
幕府にも官軍にも与せず小藩の中正独立を守ろうとした男の信念!
旅から帰った河井継之助は、長岡藩に戻って重職に就き、洋式の新しい銃器を購入して富国強兵に努めるなど藩政改革に乗り出す。ちょうどそのとき、京から大政奉還の報せが届いた。家康の幕将だった牧野家の節を守るため上方に参りたいという藩主の意向を汲んだ河井は、そのお供をし、多数の藩士を従えて京へ向う。風雲急を告げるなか、一藩士だった彼は家老に抜擢されることになった。