よき時代に生きて欲しかった・・・本書は、新撰組副長土方歳三を主人公に、新撰組の誕生、京都での活躍、崩壊、函館での戦いを徳川幕府が崩壊し、明治維新となるまでの歴史とともに描いている。なぜ新撰組は誕生したのか?新撰組の果たした役割とは?複雑な歴史の動きと共に、その中で懸命に生きた男たちの壮絶なドラマである。その中でもやはり副長土方歳三の「信念」には圧倒させられるものがある。彼が新撰組に求めたもの。時代に求めたもの。「バラガキのトシ」と呼ばれ、生まれながらの喧嘩師であった歳三、剣にしか生きる術を持たなかった歳三、しかしそういった面よりも私は彼の優しさと寂しさに心を打たれた。「新撰組」はあまりにも有名であるが、彼らが京都で活躍した時間はあまりにも短い。時代は彼らに留まる事を許さなかった。彼が、あの時代に生まれたことは幸せだったのか…私は、彼の剣術だけでなく人心掌握術、統率力をもっと生かせる時代に生まれて欲しかったように思う。新撰組について、土方歳三についてもっと深く知りたくなるような気を起こさせてくれる、そんな一冊です。
幕末の日本で、敵からも味方からも最も恐れられたのがこの男。
幕末の動乱期を、新選組副長として剣に生き、剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑なな生涯。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、自身も思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。人気抜群、司馬遼太郎の“幕末もの”の頂点をなす長編。