純友という魅力的な男を追う物語
「生きたいように生きる」を貫いた男、藤原純友の物語。
京都の大学で飄々と生活する純友は、ひょんなことから、伊予へ赴任する。
そこの海で、自分の生き方を見つけた純友は、
「海上の自由」を巡り、藤原宗家の利害と衝突することになります。
四国・九州の水師をまとめ、大宰府や新羅の海軍との対決、
商人達を見方につけた経済上の戦い、政治上の駆け引き等で、
自分の生き方を貫いて行きます。純友の魅力に、最後まで一気です。
自由な生き様、限界、成長・・・。また、仲間たち、ライバルの人物も、しっかり描かれています。
いろいろな人物の生き方、それぞれの正義、その対比がまた、読ませます。
権力に虐げられる山の民、海の民の活躍も読みどころの一つでしょうか。
平将門も登場し、純友の将門の人物評や、その乱の評価等、興味深かったです。
純友の性格のためか、爽やかな本です。
同じ筆者の他の本のような「男のこだわり」みたいな部分は、かなり後退しています。
上下二巻、揃えておくことがお勧めです。あと、寝不足は覚悟のこと。
純友みたいに生きたいよ〜、と思わせる本でした。