小説などで学ぶ、

日本史・世界史
面白いだけではない、
読めば身になる歴史関係の小説・マンガ等紹介!
歴史の勉強は、暗記ではつまらない。
教科書に載っている、歴史は薄っぺらだ。
学校の歴史の授業は、眠くなる。
歴史はテスト前の一夜漬けで済ませてしまい、
全然頭に残っていない。
などなど、そう思っている人に
読めば頭に入って忘れなくなる歴史関係書物を紹介しています。
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日本歴史 明治時代 日露戦争
司馬 遼太郎
発売日:1999/01
価格
将のあり方
本シリーズの主役ともいえる日露戦争の開戦前後がこの第3巻。本シリーズを通して、痛いまでにまっすぐ、国家の為に身をささげる人々の思いをびんびん感じてきたが、中でも特に印象に残った場面があった。日露戦争における海軍を作り上げた山本権兵衛がかつて海軍大臣を務めていたとき、日露戦争での主役となる旗艦“三笠”を英国に発注。しかしながら、資金繰り逼迫で万策つき、どうにも前払い金が払えない。時の内務大臣西郷従道は、事情を聞き終えると『それは山本さん、買わねばいけません。だから、予算を流用するのです。むろん違憲です。議会で追及されて許してくれなんだら、二人で腹を切りましょう。二人が死んで主力艦ができればそれで結構』本当に胸が熱くなりました。この時代にはこんな人材が少なからずそこら中にいた、、、というより、武士の魂を色濃く残す当時代の常識的な生き方なのですね。覚悟が違います。本気度が違います。自分と比べて余りの違いに愕然としました。本シリーズを通して上記のような精神に随所で出会うことができます。

日清戦争から十年―じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、
日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。
なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。
しかし、両国の激突はもはや避けえない。
病の床で数々の偉業をなしとげた正岡子規は
戦争の足音を聞きつつ燃えつきるようにして、逝った。
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司馬 遼太郎
発売日:1999/01
価格
乃木神話の現実
徹底した事実調査を背景に、著者の鋭いメスが容赦なく振り下ろされる人物が多く登場します。神格化までされた、乃木将軍もその一人。藩閥政治の寵児として、出世を果たしたがその能力はと言えばはなはだ疑問であるとばっさり。歴史に弱い私でも乃木将軍の話は聞いたことがありました。その記憶と著者の描写とのあまりの落差に驚きを禁じえませんでしたが、著者の描写が限りなく事実に近いのだろうと思います。人格には優れていたが、知識がなく、結果能力のない参謀である伊地知を見極めることができなかった。それが旅順総攻撃の惨憺たる悲劇を生むことになる。鉄壁の要塞を前に、初めて目にする機関銃の掃射で、仲間の兵士がごみのようにあっけなく殺されていく。殺されても殺されても、士気を失わず、国家防衛のため自らの命を喜んで差し出す兵士達の凄まじいまでの気迫、気概に心を打たれると同時に、多数の死傷者を生み出した作戦の虚しさにやるせなさを感じました。

明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。
豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国…。
少将秋山好古の属する第二軍は遼東半島に上陸した直後から、苦戦の連続であった。
また連合艦隊の参謀・少佐真之も
堅い砲台群でよろわれた旅順港に潜む敵艦隊に苦慮を重ねる。
緒戦から予断を許さない状況が現出した。
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司馬 遼太郎
発売日:1999/02
価格
旅順陥落
旅順での乃木司令部の余りのまずさに、ついに別の場所で開戦の指揮をとっていた児玉が、旅順の指揮に乗り出す。簡単なことに見えるが、軍の内部でそのトップが交代するということはとんでもないことというのが常識であった。何も、官僚的な組織論から出た考えではなく、兵士の士気等戦争には欠かせない重要なものがそれにより失われるということが現実によくあったのだろう。しかし、それを児玉は見事に、組織を崩壊させることなくやってのけた。しかも、その後すぐに203高地(旅順攻略のポイントとされた場所)を陥落させる。方法はいたって単純で、分散していた兵力をこの1点に集中させたのである。逆に言えば乃木司令部、特に無能であると著者の切り捨てられた参謀伊地知はこんな当たり前のことをかたくなにやらなかった。児玉の活躍はまさに痛快であった。歴史的には表面に出てくることのないこの大活躍を著者は見事に描写してくれた。素晴らしいことだと思う。

強靱な旅順要塞の攻撃を担当した第三軍は、
鉄壁を正面から攻めておびただしい血を流しつづけた。
一方、ロシアの大艦隊が、東洋に向かってヨーロッパを発航した。
これが日本近海に姿を現わせば、
いま旅順港深く息をひそめている敵艦隊も再び勢いをえるだろう。
それはこの国の滅亡を意味する。が、要塞は依然として陥ちない。
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司馬 遼太郎
発売日:1999/02
価格
旅順陥落の後
旅順の陥落の後、黒溝台戦の叙述が序盤であった。この会戦でやっと秋山好古の騎馬兵団の活躍が叙述されていた。臨時立見軍の立見尚文中将が戦後永く弘前において「軍神」として慕われていたという。これは少し印象に残った。それぞれの地方にこのような英雄がいれば楽しいと思う。それにしてもグリッペンブルグの後押しをクロパトキンが約束?を破って実行しなかった理由が、グリッペンブルグの武勇をたてること、グリッペンブルグの勝ち戦にしてしまうことをいやがってのことであったことは、恐るべき帝政ロシアの腐敗ぶりを示すものである。グリッペンブルグはその後辞職しペテルブルグに帰ってしまったという。クロパトキンが第2次攻撃を実行していれば、ロシアが優勢であったと思われる。いずれにしても、グリッペンブルグとクロパトキンの反目、不仲がこの戦局に不利(日本にとっては有利)に働いたことは、信じがたいことであるが、歴史的真実ということだ。 また、バルチック艦隊も悲惨極まりない状態であった。アフリカ東岸、マダガスカル島の漁港(ノシベ)に長期間にわたり、滞在した。後半に記述があったが、フランスへロシアの高官が訪問した折りに、フランス側から、バルチック艦隊に関する質問がでたが、そのロシアの高官がまったく答えることが出来なかった事に、フランス側は驚いたという。まったく信じがたいくらいロシア帝政は堕落していたのだろう。バルチック艦隊は悲惨極まりない。 明石元二郎の諜報活動が詳述されていた。ロシア革命前夜の壮大なドラマのひとこまに明石の諜報活動が重要な位置を占めていたのは間違いのない事実であった。 さていよいよ奉天会戦に向けて、乃木軍が北進を開始した。東郷艦隊もいよいよ佐世保を出発し鎮海湾へと向かった。物語はクライマックスへと進む。ちなみにこの稿は司馬氏が昭和46年に筆を取っているとの記述があった。当時は、わずかに日露戦争従軍者が生き残っていた。今は(平成11年)もうゼロであろう。

作戦の転換が効を奏して、旅順は陥落した。
だが兵力の消耗は日々深刻であった。
北で警鐘が鳴る。満州の野でかろうじて持ちこたえ冬ごもりしている日本軍に対し、
凍てつく大地を轟かせ、ロシアの攻勢が始まった。
左翼を守備する秋山好古支隊に巨大な圧力がのしかかった。
やせ細った防御陣地は蹂躪され、壊滅の危機が迫った。
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司馬 遼太郎
発売日:1999/02
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将としての資質、戦争を行う国家としてのあり方は、、、
奉天の会戦がメイン。およそ日本がロシアに勝てる状況ではありませんでした。実際に読んでいても『本当に勝ったの?』という思いは消えません。筆者もそう考えているからです。この会戦における最大の要因は『敵将の無能、敵国の官僚化』だとすることができます。戦争において自己の保身、利益のみを追求する腐敗官僚主義が主導権を持つことはそのまま滅亡に繋がることがよくわかります。腐敗官僚が指揮する戦争においては、ロシアほどの大国をして、武力、経済力の面で弱小といわざるを得ない日本のような小国にさえ負けさせてしまいます。驚くべき事実ですが本当のことでしょう。日本男児としては痛快な快進撃を期待してしまうところですが、事実は全く違います。驚くべきとしか言いようのない臆病、保身、官僚主義が“無能”という致命的欠点となって日本を勝利に導きます。人生においても学ぶべき教訓が明確に描かれています。

各地の会戦できわどい勝利を得はしたものの、
日本の戦闘能力は目にみえて衰えていった。補充すべき兵は底をついている。
そのとぼしい兵力をかき集めて、ロシア軍が腰をすえる奉天を包囲撃滅しようと、
日本軍は捨て身の大攻勢に転じた。
だが、果然、逆襲されて日本軍は処々で寸断され、時には敗走するという苦況に陥った。
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司馬 遼太郎
発売日:1999/02
価格
じんわりと残る感じ
1巻から8巻までやっと読み終えた。読了後、不思議と、心を激しく動かされるような感動は無かった。この「坂の上の雲」は「小説」とはいえないからだろう。この作品は、日露戦争という事件を、なるべく客観的に書いた叙事詩といえるものだと思う。秋山兄弟、正岡子規、東郷、乃木と、いろいろな人物が出てくるが、彼らの私的な感情は殆ど描かれていない。むしろ、私的な感情を抑え、対ロシア戦争で勝利するという目的の下で、自分の役割を規定し、邁進していく生き様が描かれている。自己を犠牲にして、大きな目的のために邁進していく生き様が、現代で生きている自分にとっては新鮮で小気味良かった。純粋にかっこいいと思った。その感慨が、自分の中にじんわりと残っていく感じだ。乃木将軍は有能な司令官ではないが、偉大な精神者として描かれていた。「精神主義と規律主義は無能者にとっての絶好の隠れ蓑である」という一節が自分には印象に残った。自分にとっては、乃木将軍の気高い精神はかっこよく思えた。

本日天気晴朗ナレドモ浪高シ―明治三十八年五月二十七日早朝、
日本海の濛気の中にロシア帝国の威信をかけたバルチック大艦隊が
ついにその姿を現わした。
国家の命運を背負って戦艦三笠を先頭に迎撃に向かう連合艦隊。
大海戦の火蓋が今切られようとしている。
感動の完結篇。巻末に「あとがき集」他を収む。
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