制度改革がメインだがわかりやすい本書はアウグストゥスによるパクス・ロマーナ建設過程をわかりやすく解説した本です。そのため終盤にゲルマン遠征という戦争も若干記載されていますが、全体的にはアウグストゥスによる制度改革がメインとなります。トピックは地味ですが、著者のわかりやすい解説のおかげで、税制改革や軍政改革、行政改革など全てについてアウグストゥスの意図が見えてきます(もちろん別の解釈も出来るでしょうが)。全体を通じて感じたことは、アウグストゥスの政策は、何かを禁止するようなものではなく、いわゆる「誘導型」と呼ばれる、人々にインセンティブを与えて動かすものが多いですが、なかなかうまくできていると思います。この時代にローマに生きていた人々はローマ市民としての誇りや、ローマによる平和を大いに享受していた感があって、私自身もタイムマシンがあったら行ってみたい時代です。